ご家族や周囲の方へ

ご家族や周囲の方へご理解いただきたいこと

 補聴器は、使用する方の聞こえによってその効果には個人差があります。
 補聴器は最先端のテクノロジーを使った医療機器ですので、補聴器を使用すれば、周囲の健聴者と同じように会話ができて当然と思う方も少なくありません。しかし、補聴器を使用しても難聴が回復したわけではないため、補聴器を使用している方と接する時には、いくつかの配慮が必要となります。



会話はできるだけ近づいてから

 

聞こえにくくなると、少し離れたところからの会話は不明瞭になり、

ハッキリと聞き取ることが困難になります。
面倒ですができるだけ近づいてから会話をするように心がけてください。


まずは聴く準備が大切です。

 

話しかける時は、いきなり内容を話すのではなくまず最初に名前を呼んだり、

「ねえねえ」「あのね」など注意を引いてから、

相手が聴く体勢になったことを確認してください。
突然話しかけられると、聞き返しをされることが多くなります。


じつは目でも言葉を聴いています。

 

難聴になると、音声情報だけでは十分に言葉を理解することが難しくなるため、

口元の動きなどの視覚的な情報は大変重要な役割となります。
そのため口元を見ながら会話が出来るよう正面から話しかけるように心掛けてください。


補聴器装用の際もゆっくり、はっきりを心がけてください。

 

補聴器を使用している方には、

できるだけゆっくりとした口調で話しかけてください。
特に高齢の方では、若い方と同じように物事をすばやく処理したり、

頭の中の記憶をすばやく整理することが困難になるため、

補聴器を使用しても早口だと聞き取れないことがあります。


ご家族のあたたかい励ましが何よりも大切です。

 

聞き返しをされてもイヤな顔や面倒くさそうな態度をしないでください。
ご家族や周囲の方のちょっとした思いやりで、

励まされたり、落ち込んだりする物です。
特に聞こえの悪い高齢者の心理状態は繊細ですので、

聞こうとする意欲がなくなってしまうと、

補聴器の効果まで激減してしまいます。


ちょっとした工夫も大切です。


難聴の程度にもよりますが、補聴器を使用しても聞き取ることのできない発音があります。何度言っても聞き取れない場合は、ただ単に同じことを繰り返さずに、言い回しを変えてみたり、内容が想像できるようなヒントを加えてみてください。「ポスト」というよりも「郵便局のポスト」と言うほうが聞き取りやすくなります。


認知症・うつと聞こえの関係

 現在、聴力の低下と認知症の因果関係を指摘する研究結果も

見受けられるようになって来ました。

”外からの情報が入ってこない” 

”会話がない”

という状況が長く続くと精神活動が抑えられてしまうため、

認知症になる可能性が出てくるのです。

 また、特に男性で聴力が低下した人は、していない人に比べ、

約3倍も「うつ」になりやすいという研究データもあります。

聴力の低下をほうっておかず、さまざまな場面で会話に参加していくことが、

認知症やうつを防ぐことにつながると考えられます。

 

参考:聞こえを応援! はじめての補聴器ガイド「みみから。」